2019年6月(筆者撮影)
神戸市は三宮にある市役所2号館を地上20階建以上、延床面積55,000㎡の超高層複合ビルとして建替える。
現在、「神戸市役所2号館」の解体工事が始まっており、2025年以降に完成する予定。
出典 神戸市
出典 神戸市
毎日新聞によると、市役所2号館に入居する予定だった「音楽ホール(800席)」の計画を断念した。
引用https://mainichi.jp/articles/20210422/k00/00m/040/054000c
三宮駅前・雲井通複合再開発計画に入居する中ホール(約700席)は舞台芸術専用としていたが、新2号館の音楽ホール中止を受け、コンサートでも活用できるよう音響機能を充実させる。
神戸市室内管弦楽団や神戸市混声合唱団の本拠地として活用し、練習場や事務所も設置する。
以前から、三宮駅前のツインターワーにも音楽ホール(1,800席)を設置するが、なぜ、離れた場所に中ホール(800席)を設置するのか疑問だった。
名称・所在地 | 劇場規模 |
国際会館(開業中) | 2,112座席 |
三宮駅前・雲井通複合再開発(計画中) | 1,800座席 |
800座席 |
神戸市庁舎2号館の音楽ホール計画中止を受けて、約7,000㎡の床面積は「商業施設」として利用される予定だが、具体的にどのように活用されるのだろうか?
ただ、東遊園地には「こども本の森 神戸」が2022年春に開館予定なので、少なくとも「子供向け図書館」は入居しないと思われる。
名称 | 神戸市役所2号館建替 |
所在地 | 神戸市中央区加納町6 |
延床面積 | 55,000㎡ |
階数 | 20階以上 |
ホテル棟(超高層) | 14,000㎡(ハイクラスホテル) |
7,000㎡(商業施設) | |
行政・音楽ホール棟(低層) | 約15,000㎡(市役所業務) |
7,000㎡( |
|
(連絡ロビー・エネルギー施設) | 5,000㎡(55,000㎡に含まれない) |
基本計画策定 | 今後策定 |
市役所機能・音楽ホールの事業費 | 190億円 |
完成予定 | 2025年以降 |
- 市庁舎機能
- ハイクラスホテル
- 国際的なビジネス拠点
- (
音楽芸術拠点となる800席の音楽専用ホールの計画は中止された)
神戸市役所2号館は1957年竣工で、8階建ビルだったが、1995年の阪神・淡路大震災で6階部分が倒壊したため、6階以上を撤去し、現在は5階建て(延床面積15,000㎡)となっている。
建替後の新2号館は、現在の神戸市役所1号館(30階建、高さ132m、延床面積約52,000㎡)と同規模の延床面積で、20階以上の超高層ビルと予想される。
また、民間会社が建物を建設し、神戸市役所が「市役所部分」「音楽ホール(中止)」を190億円で買い取るスキームとなる予定。
神戸市のHPでは、「にぎわい集客施設」とあるが、当ブログでは独自解釈で「ハイクラスホテル」と読み替えしています。「にぎわい商業機能」も「商業施設」として記載しています。
また、神戸市発表の案では、超高層ビルと低層ビルの2棟になっているが、当ブログでは「ホテル棟(超高層ビル)」と「行政棟(低層ビル)」と読み替えしています。
出典 神戸市
2020年10月(筆者撮影)
三ノ宮駅からウオーターフロントや旧居留地への回遊性を向上させるため「にぎわい・集客」施設つまり「ハイクラスホテル」を入居させる。
商業施設も当然ハイクラスホテルに合わせて高級ショップになるのではないか?
三ノ宮駅の再開発が遅れているのに、なぜ市役所2号館の開発計画が先行するのか?
そもそも、三ノ宮駅の容積率など規制緩和をすれば、JR西日本が「ハイクラスホテル」が建設するはずだ。
なぜ、神戸市が「ハイクラスホテル」の計画をするのか?民業圧迫ではないか?
神戸市としては、巨大三宮駅ビルで宿泊・飲食・音楽鑑賞が完結すれば、旧居留地やウォーターフロントが衰退すると思っているのだろう。
そのため、三宮駅再開発が難航しているのではないか?
もしそうなら、三宮駅再開発は市庁舎2号館の建替え後の2025年以降になる可能性もある。場合によっては2030年頃かもしれない。
また、新2号館に「ハイクラスホテル」が入居しても、JR三ノ宮駅ビルに同格のホテルが建設されれば、新2号館のホテルは立地が悪いので競争に負ける。
そもそも新2号館の南側に神戸市役所1号館があるので、南側の眺望はよくない。「ハイクラスホテル」は無理な計画だ。
結局、せいぜい高級「ビジネスホテル」になるのではないか?しかし、民間事業者の負担金は200億円以上となるため採算は合わないかもしれない。
また、ハイクラスホテルを入居させても平均的な神戸市民は利用することはないだろう。
なんのために、神戸市役所は「ハイクラスホテル」を計画しているのか?
もちろん、都市にはハイクラスホテルは必要だが、民間がやるべきことで、行政の仕事ではないと思う。
一部の上級市民しかメリットのないハイクラスホテルを神戸市民の財産である神戸市所有地に建設すること自体どうなんだろうか?
これでは、多くの神戸市民は健康保険料や市民税などの負担が増加するだけでメリットがないのではないか?
本来、神戸市の批判をするのは地元新聞社の役割だが、その地元新聞社は神戸市から容積率1,600%という破格の厚遇を受けて駅ビルを建設して儲けているから、神戸市役所の批判はしないのかもしれない。
新2号館のホールはクラシック専用となる計画だったが、海外から有名オーケストラを呼ぶためには2,000席くらいないと採算が合わない。
従来計画の800席では、大学のサークルレベルや地域のアマチュアの音楽団体の発表会が中心になってしまう。
したがって、三宮の一等地に800席の「音楽専用のホール」を建設する意味はなく、三宮駅前のツインターワーの中ホール(約700席)を「演劇と音楽用の兼用ホール」として設置するのが最適とされたと思われる。